2024年4月1日以後に開始する四半期については、四半期報告書が廃止されます。今回は廃止後の2024年決算スケジュールを具体的に解説していきたいと思います。四半期報告書はいつなくなる?2024年4月1日以後に開始する四半期については、四半期報告書が廃止されます。ただし、第2四半期には半期報告書が必要になります。また、四半期報告書は廃止されますが、四半期短信は継続なので注意してください。上場会社に多い3月・12月決算会社の場合は、具体的に下図のスケジュールになります。3月決算会社の場合12月決算会社の場合決算月別の2024年開示スケジュール各決算月別の2024年開示スケジュールは具体的には下図の通りになります。3月・12月決算会社を確認したい場合は、上図と同じなので読み飛ばしてください。また、銀行業等の場合は一般会社より提出期限が15日延長されているため注意が必要です。1月決算会社の場合2月決算会社の場合3月決算会社の場合4月決算会社の場合5月決算会社の場合6月決算会社の場合7月決算会社の場合8月決算会社の場合9月決算会社の場合10月決算会社の場合11月決算会社の場合12月決算会社の場合「金融商品取引法等の一部を改正する法律」(2023年11月20日成立)より四半期報告書がなくなると短信開示が増える?第1・3四半期報告書を作成しないので、開示作業の負担は減ると考えられます。ただし、第1・3四半期では四半期報告書がなくなるため、四半期短信で主に下記3点の開示が追加で義務付けされます。これまでの四半期報告書の注記内容と同じような内容になります。なお、第2四半期短信、通期決算短信は今まで通りです。項目短信に追加される内容備考サマリー情報監査法人による「レビューの有無」を注記事項に記載任意のレビューと義務のレビューと区別するため添付資料・注記事項セグメント情報等の注記新制度における半期報告書と同水準添付資料・注記事項キャッシュ・フローに関する注記CF計算書を省略する場合東京証券取引所「四半期開示の見直しに関する実務の方針」(2023年11月22日)より四半期短信の監査法人レビューが義務付け?四半期短信では、監査法人のレビューは原則任意ですので義務ではありません。これまで通りレビューが無い旨を短信に記載すれば問題ありません。ただし、下記①~⑤の要件に該当した場合には、その後提出される第1四半期、第3四半期の財務諸表に対するレビューが義務付けられます。レビュー義務付けは、要件該当後に提出される有価証券報告書・内部統制報告書において、下記①~④の要件にいずれも該当しない場合に解除されます。四半期決算短信のレビューが義務付けられるケース直近の有価証券報告書・半期報告書・四半期決算短信(レビューを行う場合)において、無限定適正意見(結論)以外の場合(注1)直近の有価証券報告書において、内部統制監査報告書における無限定適正意見以外の場合直近の内部統制報告書において、内部統制に開示すべき重要な不備がある場合(注1)直近の有価証券報告書・半期報告書が当初の提出期限内に提出されない場合(注2)当期の半期報告書の訂正を行う場合であって、訂正後の財務諸表に対してレビュー報告書が添付される場合(注2)(注1)直近の有価証券報告書・半期報告書・四半期決算短信(レビューを行う場合)・内部統制報告書の訂正を行う場合で、要件に該当する場合も対象。(注2)財務諸表の信頼性の観点から問題がないことが明らかな場合を除く。東京証券取引所「四半期開示の見直しに関する実務の方針」(2023年11月22日) よりその他の変更公衆縦覧期間の延長四半期報告書の廃止に伴い、半期報告書や臨時報告書の法令上の開示情報としての重要性が高まることから、各種書類の公衆縦覧期間が延長されます。具体的には、下図の通りほとんどが5年になります。また、各書類の添付書類や訂正報告書等も同様の公衆縦覧期間となります。書類現行24年4月1日以降有価証券届出書5年(参照方式の場合は1年)5年(参照方式の場合も5年)発行登録書発行登録追補書類発行登録が効力を失うまでの期間5年有価証券報告書(及び確認書)5年5年内部統制報告書5年5年四半期報告書(及び確認書)3年廃止半期報告書(及び確認書)3年5年臨時報告書1年5年自己株券買付状況報告書1年1年親会社等状況報告書5年5年「金融商品取引法等の一部を改正する法律」(2023年11月20日成立)より東証の四半期短信に関する取り締まりが厳しくなる?短信の役割が大きくなることから、会計不正等が疑われる場合は厳しくなります。東証の取り締まり(エンフォースメント)方針は下図の通り示されています。取引所において適切な実施のために監査人との連携を強化し、会計不正の概要を早期に把握できる仕組みを構築する考え方が示されています(法令上の不公正取引(風説の流布)の禁止についても適切に理解されるよう周知)。四半期決算短信に関するエンフォースメントの方針① 会計不正等の疑義が生じた場合など、必要と認める場合に、上場会社に対して、正確な報告に向けて必要な調査及び調査結果の報告(必要かつ適当と認める場合に、その内容の開示)を求められるよう上場規則で明示② 公認会計士等へのヒアリングを求める場合の上場会社に対する協力義務に関する上場規則(規程第604条)について、その射程を、上場廃止に係る該当性の判断に必要と認める場合から、会計不正等が生じ、実効性確保措置の検討に必要と認める場合に拡大③ 上記②の施策が適切に機能するように、監査契約(JICPAにおけるひな型)において、守秘義務解除の「正当な理由」として、取引所からの情報連携の要請等を含めるなど、JICPAにおいて対応されることが期待される東京証券取引所「四半期開示の見直しに関する実務の方針」(2023年11月22日) よりまとめいかがでしたでしょうか。本記事では、2024年4月1日以降に適用となる開示スケジュールを説明しました。四半期がなくなると開示負担は減りますが、計画的に開示準備に取り掛かる必要があります。具体的進め方を相談するには、プロの専門家に聞くのが一番です。フラッシュパートナーズでは多くの経験豊富な会計士が無料相談会を実施しております。ぜひ、お気軽にお問い合わせください!