2024年の国内M&A市場はベンチャー企業の取引件数が過去最高を更新し、IPOを目指す企業による積極的なM&A活用、そして上場企業による戦略的な投資拡大により大きく盛り上がりました。本記事では最新データを基に、市場動向と各企業の具体的戦略を詳細に分析します。1.ベンチャー企業のM&A件数推移(2024年~2016年)ベンチャー企業のM&A件数は2024年で約3,479件(前年比18%増)となり、過去9年間で着実に増加しています。下記以外の開示されていないケースを加味すると、全体的にはより多くなっていると推定されます。(参照元:レコフ社、中小企業白書2024、ストライク社、上場会社の開示を基に推定)2.IPO準備企業のM&A活用実績IPO準備企業は、成長加速のためM&Aを戦略的に活用しています。類似事業企業の買収により、事業領域の拡大とシナジー効果による利益率向上を狙うケースが多く見受けられます。具体例として、事業領域が隣接する分野のスタートアップを買収し、自社のコア技術を活用した新規市場への参入に成功するケースが見られます。3.上場企業のM&A戦略と2024年の動向2024年、上場企業によるM&A件数は前年比14%増加し、1,221件で17年ぶりの高水準を記録しました。一方で、取引金額は1兆円超の超大型案件がなかったことから前年比13.9%減の10兆5,397億円となりました。特に半導体・電機業界や不動産・建設業界での大型案件が目立ちました。(参照元:上場会社の適示開示、ストライク社)4.M&A成功の鍵:デューデリジェンスとPMI課題への対応M&Aの成功は事前のデューデリジェンス(財務・法務・ビジネス調査)のみならず、統合後のPMI(統合プロセス)に大きく依存します。適切なデューデリジェンスが行われなかった場合、潜在的なリスクを見逃し、統合後に問題が表面化する可能性があります。中小企業白書2024によると、M&A実施企業は売上高や利益率の改善が見られますが、統合後の文化融合や業務プロセスの統一などに課題が残ります。成功企業の多くは事前調査の徹底しており、明確な統合計画の策定したうえで経営層の強いリーダーシップの発揮しています。5.日本企業の海外M&A動向:米国市場での拡大日本企業による海外M&Aは2024年も活発で、件数は228件(前年比5.5%増)、金額は7兆1,512億円(前年比17.2%増)でした。背景としては、株主や東証からの資本効率改善のプレッシャーを受けてビジネスリスクに応じたリターンを求める流れや記録的な為替変動の影響が考えられます。特に米国におけるM&Aは最多の73件を記録しています。注目案件として、ルネサスエレクトロニクスによる米アルティウム買収や積水ハウスによる米M.D.C. Holdings買収があり、海外市場への本格参入や事業拡大を目的とした案件が顕著です。参照元:「資本コストや株価を意識した経営の 実現に向けた対応」:東京証券取引所参照元:「企業買収における行動指針」:経済産業省まとめ:今後のM&A市場の見通しと戦略ポイント2024年のM&A市場はベンチャー企業の活況、IPO準備企業の積極活用、上場企業の戦略的動向が目立ちました。成功には対象企業の選定、徹底したデューデリジェンス、明確な統合計画、統合後のマネジメントが不可欠です。フラッシュパートナーズでは、M&Aのデューデリジェンスから価値算定、PMI支援まで包括的なサポートを提供しています。ご相談や無料相談のご依頼は、お気軽にお問い合わせください。お問い合わせはこちら、もしくは右上の無料相談から