決算開示は企業の透明性を確保し、投資家やステークホルダーからの信頼を得るための重要なプロセスです。近年、規制や市場の期待の変化に伴い、決算開示に関連するトレンドが進化しています。本記事では、2025年以降に影響を与える最新の動向と、それに対応するためのポイントを解説します。 四半期報告書廃止がもたらす最新トレンドと影響2024年4月より、四半期報告書制度が廃止され、四半期決算短信に一本化されました。この変更により、企業の実務負担が軽減される一方、新たな課題も浮上しています。四半期報告書制度の廃止による開示実務への影響作業負担の軽減調査によれば、約7割の企業が「作業負担が軽減した」と回答しています。監査の選択性四半期レビューが任意となり、監査対応を行わない企業も増加。ただし、監査人に財務諸表を確認してもらうケースも見受けられます。実務の効率化と課題開示基準の統一化に向けた議論が進行中で、将来的にはより効率的な開示手法が期待されます。参考:第211回国会における金融庁関連法律案:金融庁英文開示義務の拡大2025年4月から、プライム市場上場企業に対して、決算情報と適時開示における英文開示が義務付けられます。対象書類は以下の通りです:決算短信および四半期決算短信決算補足説明資料適時開示情報対応のポイント英文開示は、海外投資家との対話を強化する大きなチャンスです。標準化された翻訳プロセスの導入や、海外市場に関する知識の向上が鍵となります。なお、有価証券報告書等については義務化ではなく継続検討となっています。参考:プライム市場における英文開示の拡充に向けた上場制度の整備の概要:東京証券取引所サステナビリティ情報の開示基準2025年3月末には、日本独自のサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)が確定する予定です。ISSB基準との整合性を持つこの基準は、2027年3月期から大企業を対象に段階的に適用される見込みです。企業にとっての課題情報収集の強化: サステナビリティ関連データの収集を効率化する仕組みが必要です。保証体制の整備: 将来的に第三者による保証が検討されているため社内での検証プロセスの導入が必要です。コスト負担: 情報開示に伴うシステムや人的リソースの投入が増加。参考:サステナビリティ情報の開示に関する特集ページ(金融庁)有価証券報告書の開示時期の前倒し近年、有価証券報告書を株主総会前に公表する案が協議されており、2024年12月20日には第一回の協議会が開催されました。この施策は、株主が総会前に有価証券報告書を参照し、議決権行使の判断材料とすることを目的としています。施行された場合には、開示実務に大きな影響を及ぼすため、企業としては議論の動向を注視し、早めの準備が求められます。企業が注視すべきポイントスケジュール管理の見直し短期間でのデータ収集や監査手続の完了が求められ、各部門との連携強化が必須となります。実務負担の軽減策前倒しに伴う負担を軽減するため、効率的なプロセス設計や自動化ツールの活用が重要です。サステナビリティ情報との整合性新しい基準により記載項目が増加する中で、開示内容の統一性と整合性を確保する必要があります。下図は、総会前開示の考えられる実現方法になります。 協議会説明資料(P13)参考:有価証券報告書の定時株主総会前の開示に向けた環境整備に関する連絡協議会(第1回) (金融庁)まとめ決算開示における最新トレンドと規制対応は、企業に新たな挑戦をもたらす一方で、投資家との信頼関係を強化する大きなチャンスでもあります。四半期報告書の廃止やサステナビリティ情報開示基準、英文開示の拡大、さらには有価証券報告書の前倒しなど、これらの変化は2025年以降の開示実務に多大な影響を与える可能性があります。企業が注目すべき課題と対応策課題詳細解決策四半期報告書の廃止による実務負担の軽減と新たな課題への対応任意監査が検討されるため決算早期化や社内チェック体制の確保が必要。決算短信プロセスの標準化を進め、効率化と正確性の両立を図る。英文開示義務の拡大に対応する国際的な透明性の確保翻訳コストの増加や正確性の担保、海外投資家への信頼性向上が求められる。専門翻訳サービスの活用、英文開示プロセスの標準化、関連部署との連携を強化する。サステナビリティ情報開示基準への適応ISSB基準との整合性を確保しつつ、関連データの収集・報告体制を整備。データ収集システムの導入、社内チェック体制の検討、社内教育の強化を進める。有価証券報告書の前倒し案への準備スケジュール短縮に伴う作業負担の増大と部署間の連携が求められる。データ収集の早期化、効率的なタスク管理ツールの導入、内部統制の強化。これらの課題に対応するためには、企業の状況に応じた柔軟な戦略が欠かせません。フラッシュパートナーズでは、決算開示支援サービスからサステナビリティ情報開示対応、決算開示の早期化、英文開示プロセスの効率化まで、企業のニーズに合わせた包括的なソリューションを提供しています。新たな開示対応に向け、専門家チームが最適なサポートを提供いたします。ぜひお気軽にご相談ください!